アートフェアアジア福岡2023に出展いたします。
「旅」をテーマとした山田啓貴と藤田勇哉の作品とともに、藤島武二や鴨居玲など近代洋画の逸品たちをお楽しみください。
山田啓貴 -石壁の帰るべき家-
『最後の晩餐』を何枚も描くうち、その意味は私自身のダイニングテーブルになっていた。
特に2021年の晩餐の作品からは顕著で、そのイメージはまだ見知り得ない自分の家でもある。
オリジナルの作品にもある「家」という象徴としてのこの空間には、石壁の中にいることでの外界から囲まれている安心感、外気からの防衛と、自由な出入り口と開け広げられた窓があることでいつも他者との繋がりがある。レオナルドにとっても理想の空間であったのであろうと想像できる。
そうか!これだったか。最近の私の絵は『最期の晩餐』の部屋にある長テーブルや窓枠に色々な物を置いていたのだ!!自分で描いてきたくせに、何枚か描くうちに自分の絵から教わることも多い。
2007年から始めた静物のシリーズだが、初めの頃は背景があった。シュールとも幻想とも言えるイメージを描いていたが,次第に観覧者にはその空間を想像して画面の世界に入っていってほしいと考えるようになっていった。それ故に少しでもその想像の邪魔にならぬよう空間はただ漠然と広く、床のようなものだけを描いてきた。最後に空間イメージを描いた絵は石壁の窓枠に置いた洋梨の絵だった。
近しい人や、ずっと絵を見てくれている人たちには「具体的な空間が出てくる気がする」と言われて久しい。今取り組んでいる「旅」というテーマで制作する中で見えてきたのは、実体験の旅とも相まって、自分で描いた『最後の晩餐』の部屋の中にイーゼルを立てていたことだ。いま、わたしは念願の石壁に囲まれて描いている。目の前のテーブルにナスを置き、大好きなミニカーと合わせて観察しながら、お昼のサブウェイのサンドイッチを置いた。
2023年、古典絵画をやりながら、自身の思い入れの中の記憶風景を描いてきたものがすべて結びついてきた。やっと帰ってくる家が見つかったようにも感じる。部屋の片隅にはお清めの捧げ物として─決して腐敗しない盛った塩を置きたいと思う。
山田 啓貴
藤田勇哉 ― Voyage ―
フランス、パリを旅する多くの人たちが訪れる観光名所を描きました。私もそれぞれの場所に足を運び、そして魅了されました。
今回描いた絵は、私が見た景色であり、私の記憶の中に浮かび上がってきたと色とかたちです。
藤田 勇哉
●招待者のみ
9月21日(木)16:00 – 20:00
9月22日(金)11:00 – 14:00
●パブリックビュー
9月22日(金)14:00 – 19:00
9月23日(土)11:00 – 19:00
9月24日(日)11:00 – 17:00
●会場
マリンメッセ福岡 B館 福岡市博多区沖浜町2-1
至峰堂画廊ブース S13
●入場料
前売2,500円 / 当日3,000円(税込)