およそ60年に及ぶ画歴の中で一貫して女性像を描き続けた。
しばしば楊貴妃など歴史上の人物を主題にしているが、歴史的なドラマを描くのではなく風俗性を強めて女性像を描く事に集中している。
若い頃は、師事した画家たちの感化に忠実であったが、次第に師風を抜けだして40代後半、大正時代末頃になると、穏やかで、時に典雅、品格と評される自らのスタイルをつくりだす。
文化勲章受章など「女性として初めて」という形容が冠せられる事が多いが、このような松園の社会的地位は、まず、第一に松園の絵画の質が極めて高く、気品を保ち続けたからである。